マーケティングとはなんでしょうか。この問いに答えるのはなかなか難しいのが現状です。なぜなら時代とともにマーケティングの定義や理論・考え方が進化し常に新しいものへと変化しているからです。よくある間違いとして、マーケティング・リサーチといったようなイメージを思いうかべるため、調査・分析をする部門といったイメージや広告宣伝を主とするPRや売り込みをイメージする方も多いのですが、これは間違いです。どのように違うのか、マーケティングの定義を見ていきましょう。
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マーケティングの定義

1990年の日本マーケティング協会の定義では「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」と定義されています。
2007年のアメリカのマーケティング協会の定義では「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」とされています。
フィリップ・コトラーの定義では「ニーズに応えて利益を上げること 」だと述べています。あわせてコトラーは、「マーケティング・マネジメントとは、標的市場を選択し、優れた顧客価値の創造、伝達、提供を通じて、顧客を獲得、維持、育成する技術である」とし、詳しくいうと「マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突き止め、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択したうえで、当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である。」と述べているのです。
これらを総合すると、顧客のニーズに合った商品・サービスを、適切なターゲットに発信していくことになります。
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マーケティング活動とはなにか
マーケティング活動は、①顧客価値を創造し、それを②消費者に伝達し、③説得する、すべての活動を指しますが、多くの方のマーケティングのイメージは、調査や分析、レポートの仕事だけをイメージするかもしれません。しかしながら、現在のマーケティングは、商品・サービスの創造から集客、売り上げるところまでの全体を網羅するものとなっています。
具体的にどういうことなのか例を示していきます。たとえば、メディア企業の活動に置き換えてみると、編集部が読者のニーズに応える内容の記事を考えたり、UIの開発で便利な機能を提供したり、特集編集を行いより読みやすい記事を提供したりと、新たなニーズに応えるサービスを作ることは①顧客価値の創造になります。自然検索・メルマガ・SNSからの流入向上や広告出稿などで露出を増やしていくことは、ユーザーに②伝達していくことにあたります。サービスへの無料会員登録促進や有料課金促進は、お得感やメリットがあることなのだと ③説得することになるでしょう。
こう考えていくと、現在のマーケティングは、マーケティング部門の活動により成り立っているというより、どの部門の担当者もなんらかのマーケティングに触れていて、マーケティング活動をしているということになります。
それらのマーケティング活動は細分化され、編集部で行うマーケティング活動には、コンテンツマーケティングがありますし、広報部が行うマーケティング活動にはSNSマーケティングなどがあるでしょう。このように露出先メディアや、手法によりマーケティング手法が細分化されていきます。それらの手法の組み合わせで、今日のマーケティングは成り立っていると言えるのです。
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