コトラーのマーケティングは3.0から4.0で何が変わったのか? まとめ

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コトラーのマーケティング理論は、製品中心のマーケティングである1.0からはじまり、 顧客中心の2.0、人間中心の3.0へと時代にあわせて変化してきました。そして現在では、企業と顧客とのオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティングアプローチである、4.0へと進化を遂げています。マーケティング3.0から4.0へ、私たちを取り巻く環境がどのように変わったのか、そしてどのような理論の変化を生んだのかを考えていきます。

接続性の時代、マーケティング3.0から4.0へ

マーケティング3.0では、顧客をマインドやハート・精神を備えた全人的な存在として扱う理論です。マーケティング活動に人々を参加させて協働するという発想や、社会的責任、持続可能性への言及は、人々に貴重な示唆を与えるものでした。とくに持続可能性については、国際社会共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられ、現代の企業に求められている必須の課題のひとつとなっています。

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しかし3.0では、ソーシャルメディア時代への対応という点では十分に論じられてはいませんでした。特にこの数年のデジタルエコノミーの急速な発展はめまぐるしく、人々の行動パターンを大きく変えてきました。

コトラーのマーケティング4.0の接続性の時代とは?

そこで登場したのが「マーケティング4.0」です。デジタル時代の新しい顧客に即した、新時代のマーケティングコンセプトを示しているといえます。

マーケティング4.0は顧客の推奨を勝ち取るためのアプローチ

マーケティング4.0の最も重要なポイントは、デジタルマーケティングと伝統的マーケティングは、顧客の”推奨”を勝ち取ることを最終目標とすべきであると示している点です。

企業と顧客の交流は、デジタル(オンライン)と現実(オフライン)別々ではなく、統合された一連のものとして捉えるべきで、顧客エンゲージメントを強化するマーケティングアプローチであると述べられています。

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横のつながりによって大きく変わった世界

デジタル時代の社会においては接続性や透明性が飛躍的に向上しています。地理的・時間的な制約を受けず、さまざまな情報にアクセスできるようになったことで、人々はグローバルにつながり、コミュニティを形成するようになっています。

モバイル端末の普及もこうした流れを加速させています。多くの顧客は店頭で商品を見ながら、同時にスマートフォンなどを使用して価格を比較したり、クチコミを確認したりします。

マーケティング4.0 4Aから5Aでカスタマージャーニーはどう変わったのか?

顧客は何に影響を受けるようになったのか

かつての顧客は広告などのメッセージに影響を受けやすく、権威者や専門家の意見を求める傾向にありました。しかし現在では、企業から発される一方的なメッセージの信頼性は低下し、顧客はそれよりも家族や友人、ソーシャルメディア上のコミュニティなど、横のつながりから得られる情報を信用するようになっています。

コミュニティはより強固になり、企業やブランドについて積極的に語り合っています。集合知にアクセスしやすくなったことで、顧客の意思決定はより社会性を帯びたもの(=本質的には社会の意思決定)になりました。

デジタル時代に影響力を持つ3つのセグメントはなにか?

誠実さと予期せぬ感動で顧客を引きつける

このように顧客が能動的な存在となった今日、企業は顧客が形成するコミュニティを管理することはできません。自社に都合の良い面を取り繕って発信したとしても、逆に信頼を失う可能性が高いでしょう。

企業は顧客にとっての仲間や友人のような存在を目指さなければなりません。自社の本質的な価値を正直に、そして誠実に開示して初めて、信頼され、購買、最終目標である推奨されるブランドになることができるのです。

デジタル時代のカスタマージャーニー5A

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そのためにはまず、デジタル時代のカスタマージャーニーである5A(※ファイブエー)に沿って顧客を理解することが極めて重要です。そのうえで自社にとって重要なタッチポイント(企業と顧客との接点)を厳選して、顧客にアプローチしていく必要があります。

5Aのカスタマージャーニーでは、最終的には顧客を自社の推奨者にすることを目指しますが、そのために必要なのは大量のメッセージを発信することではありません。わずか一瞬の予期せぬ感動を創出することです。とくにデジタル時代ではデジタルの交流だけでは不十分で、ますますオンライン化している世界で、オフラインの触れ合いが強力な差別化要素になるということを、企業は正しく認識しなければなりません。

※5A:「マーケティング4.0」で提唱された顧客の行動が認知(aware)、訴求(appeal)、調査(ask)、行動(act)、推奨(advocate)へどのように進んでいくかを示すフレームワーク

マーケティング4.0時代のカスタマージャーニーの類型

マーケティング4.0の目指すもの

究極的には、顧客が最も信頼する横のつながり(カンバセーション)上に、確実に自社の推奨者が存在する状況を創り出しておくことがマーケティング4.0の最大の目的であるといえます。それと同時に、マーケティングのスタイルや内容を変えようとも揺るがない、個性や存在価値(オーセンティシティ:真正性)を持つことがかつてないほど重要になっています。顧客の行動に変化をもたらす推奨は、そうした本質的な魅力がなければ生じることがないものだからです。

自社の商品やブランドの本質的な価値について、顧客に適切に伝えられているでしょうか。そして推奨を生み出すことが出来ているでしょうか。マーケティング4.0の最終目標である推奨の獲得とその方法について、いまいちど検討されてみてはいかがでしょう。

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