コトラーのマーケティングは3.0から4.0で何が変わったのか? まとめ

2020/02/03 10:02:05 / by 5A LS 編集部

コトラーのマーケティング理論は、製品中心のマーケティングである1.0からはじまり、 顧客中心の2.0、人間中心の3.0へと時代にあわせて変化してきました。そして現在では、企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティングアプローチである4.0へと進化を遂げています。マーケティング3.0から4.0へ、われわれをとりまく環境がどのように変わったのか、そしてそれがどのような理論の変化を生んだのか、という点について考えていきます。

接続性の時代、マーケティング3.0から4.0へ

マーケティング3.0は、顧客をマインドやハート・精神を備えた全人的な存在として扱う理論です。マーケティング活動に人々を参加させて協働するという発想や、社会的責任、持続可能性への言及は、人々に貴重な示唆を与えるものでした。

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しかしソーシャルメディア時代への対応という点では、十分に論じられてはいませんでした。特にこの数年のデジタルエコノミーの急速な発展はめまぐるしく、人々の行動パターンを大きく変えてきました。

コトラーのマーケティング4.0の接続性の時代とは?

そこで登場したのがマーケティング4.0です。デジタル時代の新しい顧客に即した、新時代のマーケティングコンセプトを示しているといえます。

マーケティング4.0は顧客の推奨を勝ち取るためのアプローチ

マーケティング4.0の最も重要なポイントは、デジタルマーケティングと伝統的マーケティングは、顧客の推奨を勝ち取ることを最終目標として共存すべきものであると示している点です。

企業と顧客の交流は、デジタル(オンライン)と現実(オフライン)別々ではなく、統合された一連のものとして捉えるべきだと論じており、顧客エンゲージメントを強化するマーケティングアプローチといえます。

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横のつながりによって大きく変わった世界

デジタル時代では接続性や透明性が飛躍的に向上しています。地理的・時間的な制約を受けず、さまざまな情報にアクセスできるようになったことで、人々はグローバルにつながり、コミュニティを形成するようになっています。

モバイル端末の普及もこうした流れを加速させています。多くの顧客は店頭で商品を見ながら、スマートフォンなどを使用して価格を比較したり、クチコミを確認したりします。

マーケティング4.0 4Aから5Aでカスタマージャーニーはどう変わったのか?

顧客は何に影響を受けるようになったのか

かつての顧客は広告などのメッセージに影響を受けやすく、権威者や専門家の意見を求める傾向にありました。しかし現在では、企業から発される一方的なメッセージの信頼性は低下、顧客はそれよりも家族や友人、ソーシャルメディア上のコミュニティなど、横のつながりから得られる情報を信用するようになっています。

コミュニティはより強固になり、企業やブランドについて積極的に語り合っています。集合知にアクセスしやすくなったことで、顧客の意思決定はより社会性を帯びたもの(本質的には社会の意思決定)になりました。

デジタル時代に影響力を持つ3つのセグメントはなにか?

誠実さと予期せぬ感動で顧客を引きつける

このように顧客が能動的な存在となった今日、企業は顧客が形成するコミュニティを管理することはできません。自社に都合の良い面を取り繕って発信したとしても、信頼を失う可能性が高いでしょう。

企業は顧客にとっての仲間や友人のような存在を目指さなければなりません。自社の本質的な価値を正直に示し、時にはネガティブな側面も開示して初めて、信頼され、購買、推奨されるブランドになることができるのです。

デジタル時代のカスタマージャーニー5A

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そのためにはまず、デジタル時代のカスタマージャーニーである5A※1に沿って顧客を理解することが極めて重要です。そのうえで自社にとって重要なタッチポイント※2を厳選して、顧客にアプローチしていく必要があります。

5Aのカスタマージャーニーでは、最終的には顧客を自社の推奨者にすることを目指しますが、そのために必要なのは大量のメッセージを発信することではありません。わずか一瞬の予期せぬ感動を創出することです。特にデジタル時代では、デジタルの交流だけでは不十分です。それどころかますますオンライン化している世界で、オフラインの触れ合いが強力な差別化要素になるということを、企業はもっと認識しなければなりません。

※1 5A:顧客の行動が認知(aware)、訴求(appeal)、調査(ask)、行動(act)、推奨(advocate)へどのように進んでいくかを示すフレームワーク
※2 タッチポイント:企業と顧客との接点

マーケティング4.0時代のカスタマージャーニーの類型

マーケティング4.0の目指すもの

究極的には、顧客が最も信頼する横のつながり(カンバセーション)上に、確実に自社の推奨者が存在する状況を創り出しておくことがマーケティング4.0の最大の目的であるといえます。そのためには、デジタルとは一見対極にあるような、人間同士の触れ合いが必要なのです。

顧客の行動の多様化により、ブランドは柔軟性を求められています。しかしそれ以上に、マーケティングのスタイルや内容を変えようとも揺るがない、個性や存在価値(オーセンティシティ:真正性)を持つことがかつてないほど重要になっています。顧客の行動に変化をもたらす推奨は、そうした本質的な魅力がなければ生じることがないものだからです。

コトラー マーケティング4.0のブランド認知率PAR、ブランド推奨率BARとは?

5Aは、完成度の高いモデルです。消費者の行動パターンをうまく盛り込みながら説明がされていますから、多くのみなさんがモデルとしての妥当性を感じているはずです。ただし、5Aが完璧かというとそうではありません。5Aを活用するときには、デジタルメディアを中心にしたカスタマージャーニーがすべてではないことを頭の隅に置いておかなくてはなりません。私の兄弟は、スマートフォンを所有してはいますが、それを使いこなし、積極的にSNSを利用したり、ネットで買物をしたりするわけではありません。その一方で7080歳代でもデジタルのリテラシーが高い人たちもいるわけです。多様な消費者がいるということを、常に念頭に置かなくてはいけないと思います。

また『マーケティング4.0』の内容にも、抜けている部分があると感じます。内容が、あまりにもコミュニケーションに関連する課題に偏っているのです。SNS時代の消費者とのコミュニケーションやそのカスタマージャーニーの捉え方については、『マーケティング4.0』を超えるものが出てきていません。だからこそ、顧客価値を創造し、それを消費者に伝達して説得することがマーケティング活動であるにも関わらず、顧客価値の創造についてほとんど触れていないのは大変残念です。

 

今、世の中を見回すと、Uber(ウーバー)やAirbnb(エアビーアンドビー)など、デジタル技術の活用によって既存のビジネスを変革し、新しい顧客価値を創造している事例に溢れています。ですから『マーケティング4.0』の次には、デジタル技術によるビジネス変革、価値創造の類型化を期待したいと考えています。それが示されたなら、斜陽産業の再生や伝統産業の活性化に挑戦する人たちの大きな助けとなるでしょう。


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Tags: 5A Loyalty Suite, マーケティング4.0

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