コトラー『マーケティング5.0』日本語版まとめ第1回 マーケティング5.0へようこそ(12回シリーズ)

記事

トランスコスモス(以下当社)の“5ALoyalty診断”サービスの誕生の契機にもなった『マーケティング4.0』の発売から5年。シリーズ最新著『マーケティング5.0』が2022年4月20日に日本語版が発売されました。神様コトラーの緊急提言と題されたマーケティング5.0では、デジタル社会における世代間や社会の課題とマーケティング・テクノロジー活用の新戦術について語られます。記事では章ごとに概要をまとめて分かりやすくお伝えします。
第一回は「マーケティング5.0へようこそ」です。

『マーケティングX.0』シリーズについて

「近代マーケティングの父」と評されるフィリップ・コトラーらの著作である、マーケティングX.0シリーズの第一作は『マーケティング3.0―ソーシャルメディア時代の新法則』です。マーケティング3.0では、顧客は自分の選ぶブランドから機能的・感情的満足だけではなく、精神的充足も得ることを期待するようになったと説かれました。そのため、企業は自社の価値観に基づいて差別化を図ることが必要になったのです。まさに「売り手良し、買い手良し、世間良し」の三方良しを求められているといえるでしょう。10年前に出版された本ではありますが、Y世代やZ世代の人口が主流になっている今日の時代にさらに明白になっています。
そして2017年にはシリーズ第二作となる『マーケティング4.0―スマートフォン時代の究極法則(日本語版)』が出版されました。これまでの伝統的なマーケティングからデジタル世界におけるマーケティングへの適応について言及し、マーケティングはオンラインに加えてオフラインのチャネルも使うオムニ・チャネル・アプローチをとる必要があるとされたのです。また当社が提供する「5A Loyaly診断」の基盤となる「5A」指標もマーケティング4.0で初めて提唱されました。

”5A Loyalty診断”サービスの紹介 第1回 ロイヤルティマーケティングの戦略構築をはじめるために

近代マーケティングの変遷を学ぼう マーケティング1.0、2.0、3.0のそれぞれの特徴を解説

マーケティング5.0の出番がきた

マーケティング5.0では、人間を模倣した技術を使って、カスタマー・ジャーニーの全行程で価値を生み出し、伝え、提供し、高めることです。ジャーニーにおいて、摩擦のない魅力的な新しい顧客体験(CX)を生みだすことが目的といっていいでしょう。技術には、AI、NLP、センサー、ロボティクス、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、IoT、ブロックチェーンなどがあります。これらの技術の組み合わせがマーケティング5.0の実現を可能にする要因となります。前作の『マーケティング4.0』ではこれらの技術はまだ主流になっておらず、除外されていました。しかし、2019年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、企業のデジタル化を否応なく加速させるきっかけとなりました。新しいテクノロジーはすでにさまざまな業界で取り入れられています。たとえばAIは顧客の購買パターンを明らかにして、特定の顧客集団のプロフィールに基づいて適切な製品やコンテンツをレコメンドするのを助けています。推奨エンジンは、eコマースやアマゾン、ネットフリックス、YouTubeなどデジタル企業の重要な差別化ツールです。また小売企業はセンサーとIoTを使うことで、実店舗空間でデジタル体験を提供することができます。私たちの身近な生活でも、たとえば量販店の顔検知スクリーンによってデモグラフィック属性を推定されたうえで、適切なプロモーションをオファーされているかもしれません。
しかし、テクノロジーに関する詳細な論述にもかかわらず、依然として”人間”がマーケティング5.0の中心であるべきだと指摘されています。魅力的なCXの実現のためには、企業は人間の知能とコンピューターの知能とのバランスのとれた共生を活用する必要があるのです。人間の知能は文脈を把握することができ、それでいてファジーでもあります。マシンと人間はそれぞれどの分野に適しているかは、マーケティング5.0の第七章で詳細に語られます。

マーケティング5.0の5つの構成要素

マーケティング5.0は、相互に関連した三つのアプリケーション、すなわち予測マーケティング、コンテクスチュアル・マーケティング、拡張マーケティングを軸にしています。そしてこれらの使い方は組織の二つの規律、データドリブン・マーケティングとアジャイル・マーケティングをベースにしています。

5つの要素についてはのちの章に詳細が説明されるため、本記事では概要部分のみをお伝えします。

①データドリブン・マーケティング
データドリブン・マーケティングとは企業内外のさまざまな情報源からビッグデータを分析するとともに、マーケティング決定を促進し、最適化するためにデータエコシステムを構築する活動のことです。

②アジャイル・マーケティング
アジャイル・マーケティングとは、分散型、部署横断型のチームを使って、製品やマーケティング、キャンペーンのコンセプトづくり、設計、開発、検証を迅速に行うことをいいます。

③予測マーケティング
予測マーケティングは、機械学習機能を備えた予測分析ツールを構築、使用するなどしてマーケティング活動の結果を開始前に予測するプロセスのことをいいます。

④コンテクスチュアル・マーケティング
コンテクスチュアル・マーケティングは、顧客を識別しプロファイリングしたうえで、物理的空間でセンサーやデジタル・インターフェースを活用して、顧客にパーソナライズされたインタラクションを提供する活動です。

⑤拡張マーケティング
拡張マーケティングは、顧客に対応するマーケターの生産性を向上させるために、チャットボットやバーチャル店員など、人間を模倣した技術を利用することをいいます。

2つの規律と3つのアプリケーションは互いに排斥しあうものではありません。マーケティング5.0を応用する企業は、これら5つの必要条件を満たすことで、マーケターの仕事のやり方は抜本的に変えることができます。5つの要素についての議論は第8章以降で詳しく語られます。
まずは自社に価値をもたらすと思われる先進技術にはどのようなものがあるか、検討してみてはいかがでしょうか。デジタル技術の実行は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを一因に急速に求められており、あらゆるカスタマージャーニーの行程で検討される必要があります。

コトラー『マーケティング5.0』まとめ なぜいまマーケティング5.0なのか? 第1回

タイトルとURLをコピーしました