コトラー『マーケティング5.0』日本語版まとめ第4回 デジタル・ディバイド(12回シリーズ)

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トランスコスモス(以下当社)の“5ALoyalty診断”サービスの誕生の契機にもなった『マーケティング4.0』の発売から5年。シリーズ最新著『マーケティング5.0』が2022年4月20日に日本語版が発売されました。神様コトラーの緊急提言と題されたマーケティング5.0では、デジタル社会における世代間や社会の課題とマーケティング・テクノロジー活用の新戦術について語られます。記事では章ごとに概要をまとめて分かりやすくお伝えします。
第4回は「デジタル・ディバイド」です。

デジタル・ディバイドとは

デジタル・ディバイドとは「インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差」のことをいいます。

2020年にweare.socialが発表した調査によると、世界のインターネット利用者数は201年から7%(2億9800万人)増加し、45億4000万人となった一方で、世界の総人口の40%強に当たる32億人が未だインターネットを利用することができていません。これらの”つながっていない人々”の10億人以上が南アジアに住んでおり(全体の31%)、さらに8億7000万人(全体の27%)がアフリカ大陸にある国々に住んでいます。このようなデジタル・ディバイドは一般に「情報格差」と呼ばれており、国家間や地域間、学歴や所得などの格差、また性別などが原因となり生じているとされてきました。

『マーケティング5.0』では、インターネットの完全普及には少なくとも10年はかかるであろうとする一方で、新しいデジタル・ディバイドとして「デジタル化を支持する人々」と「デジタル化を批判する人々」の間にあるとしています。デジタル化した社会が世界にもたらすものは多くの機会なのか、脅威なのかについて人々の意見は二つに割れているのです。たとえば優れた知能を持つAIが人間にとって代わり、人間の仕事を奪うかもしれないという議論は、この記事を読んでいるみなさんもご存じのことでしょう。『マーケティング5.0』ではデジタル化の脅威と可能性として、それぞれ5つの項目をあげています。

デジタル化の危険性

①自動化と雇用の喪失
②未知のものに対する信頼の問題と不安
③プライバシーとセキュリティに関する懸念
④フィルターバブルと「ポスト真実」の時代
⑤デジタル・ライフスタイルと行動面の副作用

デジタル化の可能性

①デジタル経済と富の創出
②ビッグデータと生涯学習
③スマート生活と拡張された人間
④ウェルネスの向上と寿命の延伸
⑤サステナビリティと社会的包摂

テクノロジーをパーソナルに、ソーシャルに、エクスペリエンシャルにする

上記のデジタル化に対する二極化を終結させるために、人間の最善の部分を引き出すテクノロジーを活用する必要があるとして、次の3つに言及しています。

1つ目はパーソナルな体験です。大きな規模で顧客のエンゲージメントを得るには、AIや機械学習などのテクノロジーが不可欠です。我々は製品の選択肢やチャネルの選択肢が多すぎると、購買決定を行うのが難しくなります。情報があふれている時代における意思決定の助けになるように、企業は予測モデリングや高度なセグメンテーションを行い、自社のマーケティング戦略を強化する必要があります。

2つ目は提案されるのは、ソーシャルです。現代の顧客は企業が発信する広告よりも、口コミやWEB上のレビューなどを信用しています。これらの情報は企業が発信する情報よりも膨大な量になり、しかもTwitterやFacebookのようなソーシャルメディアにより、多くの人に拡散され、商品やブランドについて自由に語られ、不特定多数に共有されるようになりました。企業としても、製品・サービスの販売を超えたことを行う必要に迫られています。顧客同士がつながるソーシャルをうまく活用することで、自社製品の強みを引き出し、より良いものに改善できる機会となるでしょう。

3つ目は、エクスペリエンシャル(顧客体験を強化する要素)です。顧客は製品・サービスの質だけで企業を評価するわけではありません。インターネット技術の向上やスマートフォンの普及により、顧客は以前よりもはるかに多い情報を多様なタッチポイントから得ることができるようになりました。企業と顧客の間に生まれるすべての接点において、テクノロジーは顧客体験を向上させることが可能です。テクノロジーと生身の人間の優れた部分と弱点をうまくバランスを取りながら、カスタマー・ジャーニーの全工程で絶え間ないエンゲージメントを獲得しましょう。

デジタル・ディバイドは依然として存在していますが、マーケティング5.0は企業によるテクノロジーの正しい利用は人間の幸福を高める可能性があるとしています。優れた顧客体験を提供するために、人間対マシンという二分法に終止符を打ち、うまく統合させることが必要不可欠なのです。


※本記事は『コトラーのマーケティング5.0』より弊社にて編集・引用して解説しています

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