5A時代のコンテンツマーケティングとは〜コンテンツは新しい広告になる〜

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コンテンツマーケティングというと、SEOに最適化された記事を大量に作るイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。ユーザーが検索するキーワードを調査し、それに沿ったタイトルやキーワードがまぶされた記事を大量に投下する―そのようなコンテンツマーケティングの理解は表層的で限定的な捉え方です。

コンテンツマーケティングとは、コンテンツに関するカンバセーション(ネット上や直接の会話)を生み出すために、明確に限定されたオーディエンス・グループに対して、彼らにとって興味があり、役立つコンテンツを、制作・編集・配信・拡散する手法です。それらはWEBサイトの記事であり、Instagramの写真でもあり、ブランドのストーリーを語るもの、顧客の共感・推奨を得るものです。

広告からコンテンツマーケティングへ

優れたコンテンツマーケティングを実施しているブランドは、顧客に質の高いオリジナルコンテンツを提供し、自社ブランドのストーリーを語っています。最近では多くの企業がコンテンツマーケティングを取り入れており、コンテンツは新しい広告として機能するようになりました。

かつて顧客は、テレビCMや新聞広告などの伝統的メディアの広告を信用していましたが、ソーシャルメディアの台頭により、状況は一変しました。接続性の時代になり、顧客はソーシャルメディア、オンラインコミュニティでブランドについて会話し、企業・ブランドの主張が真実かどうかを確かめます。企業・ブランドの一方的なメッセージの嘘は、すぐに見抜かれてしまう時代となったのです。

コトラーのマーケティング4.0の接続性の時代とは?

ソーシャルメディアは双方向の会話をできる場を提供しています。顧客との直接的な会話は、従来の広告よりも効果的で、コスト効率もよいものとなっているのです。企業は伝統的メディアの利用により大きくリーチを取りつつも、顧客とのコミュニケーションをソーシャルメディア上で密にとっていくことが必要となっており、広告予算はコンテンツマーケティング、ソーシャルメディアでのPRへシフトしてきています。5A時代においては、ブランドの人間的側面がより重視され、顧客と会話し、顧客に寄り添うことが大きな意味を持ちます。

マーケティング4.0 5Aで提起される人間中心のマーケティングとは?

コンテンツマーケティングを成功させる8つのステップ

コンテンツマーケティングの実施は、コンテンツの制作と配信で構成されます。効果的なコンテンツマーケティングを行うには、戦略策定・効果測定の実施が不可欠です。コンンテンツそのものは企業で内制するか、外部で制作する必要があり、制作されたコンテンツを最も効果的なチャネルミックスで配信する必要があります。

コンテンツマーケティングを成功させるために、企業は8つのステップをしっかりと計画し実行していきましょう。具体的には、①目標設定、②オーディエンスマッピング、③構想とプランニング、④制作、⑤配信、⑥拡散、⑦評価、⑧改善です。それぞれのステップを綿密に計画し実行します。

①目標設定

コンテンツマーケティングキャンペーンでなにを達成したいか?

  • ブランド構築目標
  • 売上増大目標

目標がないと進むべき方向性を見失うかもしれません。ビジネス全体の目標の整合性を意識し、評価指標の明示も重要です。

②オーディエンスマッピング

顧客は誰で、彼らの不安や欲求はなにか?

  • 顧客のプロファイリングとペルソナ
  • 顧客の不安や欲求

重点的に狙いたいオーディエンスは「若者全般」などのような大まかな言葉ではなく、より限定的に絞り込むことが重要です。詳細なオーディエンスを決定し、プロファイリングを行いペルソナを書き出しましょう。ペルソナの不安や欲求を明らかにして、それらを解決するコンテンツを提供するのです。

③構想とプランニング

コンテンツの総合的なテーマ、ロードマップはどのようなものとなるか

  • コンテンツのテーマ
  • コンテンツの形式とミックス
  • コンテンツのストーリーラインとスケジュール

コンテンツのアイデアを見つけ、プランニングを行いましょう。どのようなストーリーにするのか、どんなタイミングでコンテンツを配信するのかを計画します。

④コンテンツの制作

誰がいつコンテンツを制作するのか

  • コンテンツ制作者:社内か外部の制作会社か
  • コンテンツの制作スケジュール

内制するのか外注かを検討し、制作スケジュールを確定していきます。このあたりから現場寄りの計画になっていきます。定期的な更新ができるように綿密に計画します。

⑤コンテンツの配信

コンテンツ資産をどこで配信したいか

  • 自社チャネル
  • 有料チャネル

配信先は非常に重要です。どのような流入経路を想定するのかによりコンテンツの内容や予算にも影響が出てきます。自然検索流入を重視する場合、SEO対策が重要となり、広告誘導がメインの場合は、誘導広告コストも計画に含める必要があります。

⑥コンテンツの拡散

コンテンツ資産をどのように活用して顧客と交流するか

  • コンテンツを軸にしたカンバセーションを生み出す
  • インフルエンサーを利用する

配信したコンテンツをどのように拡散していくのかを計画します。配信コンテンツを軸にどのような会話を生み出したいのかを検討しておきましょう。また、インフルエンサーを活用し多くの人の目に触れるように計画することも可能です。

⑦コンテンツの評価

コンテンツマーケティングはどのくらい成功したか

  • コンテンツマーケティングのマトリックス
  • 総合的な目標達成

設定した販売面、ブランド面の指標を評価しましょう。ソーシャルリスニングや分析ツールを使い、コンテンツのパフォーマンスをカスタマージャーニーに沿って評価します。

どのくらい世間に知られているか(認知)、関心を持たれたか(訴求)、検索されたか(調査)、行動につながったか(行動)、シェア・いいねされたか(推奨)の5Aの5カテゴリで評価します。

⑧コンテンツの改善

原稿のコンテンツマーケティングをどのように改善するか

  • コンテンツのテーマの変更
  • コンテンツの改善
  • コンテンツの配信、拡散方法の改善

実施したコンテンツマーケティングの評価・改善を行います。伝統的なマーケティング手法に比べ、コンテンツマーケティングではテーマ・形式・配信先などパフォーマンスの追跡は細かく分析が可能です。課題を洗い出し、改善を繰り返すことで効果を高め、顧客のエンゲージメントを高め、より多くの推奨を得られるように調整します。

コンテンツマーケティングを成功させるために

前項目では、8つのステップを紹介しましたが、コンテンツマーケティングを成功させるポイントはなんでしょうか。ただ闇雲にコンテンツを作り配信すればよいということではありません。また、ターゲットにかかわらず、サイトへのアクセスが増えれば成功ということではありません。戦略的に絞り込まれた顧客層にブランドメッセージを届け、共感し推奨を得てこそ、実施したコンテンツマーケティングの目的を達成したことになります。

そのためには、どのようなコンテンツが顧客にとって価値があるのか、その戦略をどのように実行するのか、これらを体系的に整理し戦略を組み立てることが肝要です。また、現場レベルでの記事制作・露出・検証まで、丁寧に計画し実行していくこともコンテンツマーケティングの成功率を上げることになります。


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