【マーケティング5.0】マーケティングのための顔認識と音声技術

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近年ではスマートフォンの普及やIoTの広がりにより、あらゆる人やモノが常にインターネットにつながっています。リアルタイムで詳細な顧客データを大量に取得できるようになった現代のマーケティングで重要なことは、データに対する理解、突き詰めれば顧客個人への理解力です。データ自体は無機質なものかもしれませんが、データの多くは人間の感情から生まれるものであるため、データ同士を有機的に結び付けて意味を見出したり解釈を加えたりすることが重要になります。

個人を理解したうえでアプローチをパーソナライズすることは、膨大な作業を必要とするため、テクノロジーの活用が必要です。すでに一部の企業では人工知能やツールを積極的に活用している一方で、理解が追いつかず導入を躊躇しているケースも多いのが現実です。今回は注目が高まっている顔認識と音声技術について理解を深めていきます。今後さらなる進歩が期待されるテクノロジーをしっかり理解し、手段として活用できるようにしましょう。

マーケティングのための顔認識技術とは

顔認識技術は人間の顔をコンピューターに認識させる技術です。スマートフォンのロック解除への活用でよく知られますが、最近ではマーケティングの世界でも注目されています。マーケティングでは、たとえば人工知能とかけあわせ、顧客の表情をリアルタイムに読み取り、様子や心情などに応じて最適なサービスやコンテンツを提供することを目指します。

会員プログラムを提供していれば、店内のカメラで顧客の顔情報を取得し、あらかじめ登録済みの顔情報と照合して個人を特定することもできますし、その日の様子や過去の行動データなどに基づいて接客方法や紹介する商品などをパーソナライズすることも可能です。さらに決済までスムーズに行えるような仕組みを実現できれば、シームレスで質の高い顧客体験が実現できます。客単価や再訪問率などを改善でき、最終的に顧客ロイヤリティの向上が期待できるでしょう。

顧客への理解が鍵となるOne to Oneアプローチでは顔情報は重要な要素のひとつです。顔は固有のものであるうえ、心の機微や反応がつぶさに現れるからです。顧客の中には撮影されることにまだ抵抗がある人もいますが、価値ある体験のためであれば問題ないと考える人も増えており、うまく活用できればブランドの信頼性向上につながります。

顔情報はオフラインでもさまざまな活用方法があります。モニター調査などでは対象者の顔情報からリアルな反応を収集して商品やサービスの設計・改良に役立てることができます。また店舗の商品棚にカメラを設置し、顧客がその製品を手に取った際の表情の分析を行い商品開発に役立てることもできるでしょう。

マーケティングのための音声認識技術とは

音声認識技術は人間の声をコンピューターに認識させる技術で、ここ数年で急速に商用化が進んだテクノロジーのひとつです。AppleのSiri、AmazonのAlexaなどが音声認識技術を活用したAIアシスタントとして知られますが、最近では多くのデバイスに音声認識技術が搭載されており、今後さらに普及していくと考えられています。

以前は「電気をつけて」「今日の天気は?」などの簡単な指示や質問に対応できるくらいでしたが、最近では人工知能やディープラーニングよって人間が話す内容の文脈まで理解できるようになり、人間同士のように自然で複雑な会話ができるようになっています。音声情報からは感情や属性など様々な情報を取得できるため、マーケティングにおける活用の可能性に大きな期待が寄せられています。

たとえば多くのECサイトは顧客が自分で検索して、検索結果から欲しいものを選び購入するというスタイルです。しかし店舗のように「どのようなものをお探しですか?」と声掛けし、会話の反応を汲み取りながら商品を紹介できたらどうでしょうか。チャットボットを活用して顧客の反応を即座に把握し、対応方法を変化させることができれば、多様なニーズを持つ顧客の、さまざまな状況に応じて常に最適なアプローチを行えます。

音声認識技術が生活に浸透したことで、顧客は企業に対してSiriやAlexaのように迅速で高品質な対応を期待するようになっています。顧客は多くの情報の中から自分にとって有益な情報を探すことにストレスを感じているため、テキストの打ち込みを必要とせずに、瞬時に自分の要望を汲み取り最適な情報を提供してくれるような体験、存在を求めています。人間同士のコミュニケーションは通常、即時に相手の文脈を理解して成立します。顧客はこうした体験を企業とのコミュニケーションにも求めるようになっているのです。

顧客が「自分の気持ちが伝わった」と感じられる体験を提供できれば、企業の信頼性が高まります。その実現のためには顔認識や音声技術が大きな力となるでしょう。ただしテクノロジーの活用はそれ自体が目的ではありません。自社の顧客を理解し、自社だけが提供できる価値や体験を追求することがなにより重要です。そうした志をもってテクノロジーの活用を積極的に考えていくことで、人間的で価値のある顧客体験の創出や顧客エンゲージメントの向上を実現できるはずです。

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