コアバリューとはなにか 社員に対する価値のマーケティングを行おう

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企業における「コアバリュー」とは、企業が大切にしている価値観であり、自社の社員に対して共通して持っていてもらいたいと考えて定めている価値観です。企業は自社の価値を業務遂行の過程に組み込むことで、社内外のコミュニティ、ひいては社会全体に役立つ行動を実現させます。それが企業価値そのものの強化・向上につながるのです。顧客へのビジョンマーケティングが重要であることは、前の記事でもご紹介しましたが、今回は社員に対して自社の価値をマーケティングすることが、いかに重要なことなのかを見ていきます。

ビジョンマーケティングとは? 持続可能性を包含したマーケティングへ

顧客にも社員にも企業の価値を理解してもらう

ビジョン・ミッション・バリューといった概念を掲げ、社会貢献を自社の価値向上につなげようとする企業は多く存在しますが、残念なことに勤めている会社の価値を知らなかったり、PRのためだけに価値を掲げていると思っている社員もいます。社員は会社の活動に最も近い場所にいる消費者であり、企業の価値をしっかり理解することで、エンパワーされます。すなわち自身の持つ力、能力・スキルを向上させ、企業の発展や改革に必要な力を備える存在となるのです。真に企業の価値を理解した社員は、企業に強力な利益能力、投資収益能力、持続能力をもたらすため、社員に企業の価値を知ってもらうことはとても重要です。

そのため、企業は社員に対して企業の価値を、顧客同様にストーリーを語り、理解してもらう必要があります。顧客は本物でないブランド・ミッションを見抜きますが、組織内部にいる社員はさらに簡単にその真贋を見抜くため、社員にブランド・ミッション・バリューを説き納得させることは難しいことです。社員に自社の価値と一致する社員経験を実現してはじめて、社員は自社の価値を納得し体現できる存在となるでしょう。

価値主導のマーケティングへの移行 ミッション・ビジョン・バリューとは?

企業の価値の種類 コアバリューとは

企業が持つ価値は、レンシオーニによると以下のように分類することができます。4つの価値の種類を理解し、見分けることで企業はよりよい中核的価値(コアバリュー)を見出し、育むことができるようになります。

価値の種類価値の内容
参加承認価値
permission-to-play
社員が入社時に備えているべき基本的な行動基準
願望的価値
aspirational values
現在は欠けているが経営陣が根付かせたいと思っているもの
偶発的価値
accidental values
社員共通のパーソナリティ特性の結果、得られるもの
中核的価値
core values
社員の行動を導く真の企業文化
価値の種類

それぞれの価値の特徴を見ていきましょう。

参加承認価値は、極めて基本的なもので、他の企業も同じ規準を持っています。たとえばプロ意識や誠実さと言った価値は通常、当然備えるべきものです。願望的価値は、経営陣が根付かせたいと思っているものであり、社員がまだ身につけていないものなので、企業の文化を形成するものにはなりません。偶発的価値も、異なるパーソナリティ特性を持つ未来の社員を排除する恐れがありコアバリューにできないのです。

コアバリューとは、社員の行動を導く真の企業文化のことを言います。この価値は社員が属する企業の文化であり、共通の価値観です。

真の企業文化は、共通価値と共通の行動で作られる

コアバリューは、社員がブランド・ミッションを実現する手引になります。これを「共有価値」と呼びます。企業文化はこの「共有価値」と社員の「共通の行動」で形作られます。企業文化を築くことは、共有価値と共通の行動を一致させることです。組織内での日常行動を通じて価値を示すことで企業文化が育ち、社員が企業価値を体現することで、顧客への説得力を持つようになるでしょう。

共有価値の実例を見ていきましょう。共有価値と共通の行動が一致することで企業文化を築いているのがわかります。

共有価値の実例

企業共有価値共通の行動
3M協働的
好奇心
社員は勤務時間の一部を使って自身のプロジェクトのために協働できる。失敗はイノベーションの一過程として受け入れられる。
シスコ人のネットワークの協働オフィスは製品の実験室。社員は在宅勤務を認められている。意思決定の権限は何百人もの幹部に分散されている。
エンタープライズ・レンタカー起業家精神会長やCEOを含むすべての幹部が、管理部門の研修生としてスタート。業績のよい社員は支店の経営を行うチャンスが与えられる。
SCジョンソン家族の価値金曜日は会議を行わない。夫婦がどちらも社員である場合は、2人一緒に海外赴任できる。
ホールフーズ民主主義決定は社員の投票に基づいて下される。店舗は自治的に運営される。
『コトラーのマーケティング3.0』を参考に作表

共有価値と行動は、その会社のブランド・ミッションを反映していなければなりません。顧客に自社のブランド・ミッションをマーケティングするには、社員自身が企業の価値を体現する必要があるのです。顧客へのビジョンマーケティングと同時に、社員への企業の価値のマーケティングはブランドの真の姿を体現するために非常に重要なのです。

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