マーケティング4.0 4Aから5Aでカスタマージャーニーはどう変わったのか?

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フィリップ・コトラーは著書『マーケティング4.0』において、現代はモバイル端末の普及やソーシャルメディアの台頭によって「接続性の時代」に突入したと語りました。同時にカスタマージャーニーの考え方も大きく変化しています。同著で初めて提唱された理論は5Aカスタマージャーニーですが、これまで知られていたカスタマージャーニーはどのようなプロセスだったか、どのように変化してきたかをみていきましょう。

4Aのカスタマージャーニーとは

これまでのフレームワークとしては、広告・販売のパイオニアであるE ・セント・エルモ・ルイスによって提唱された、AIDA-注目(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、行動(Action)が広く知られて来ました。さらにAIDAの修正板といえるのが、デレク・ラッカーの提唱する4Aです。
4Aとは、認知(Awareness)、態度(Attitude)、行動(Act)、再行動(Act again)であり、この新しいフレームワークでは興味と欲求の段階が一つにまとめられた代わりに「再行動」という新しい段階が追加されているのが特徴でした。

AIDAが、Actionつまり顧客に「購買行動」を起こさせることがゴールであるのに対して、4AではAct again、「リピート購入させること」がゴールとなったのです。

AIDAや4Aのようなカスタマージャーニーでは、顧客がプロセスを一つ一つ通り抜ける度に減少し、人数がすぼまっていく漏斗型の構造です。例えば、あるブランドの商品を購入する人数は、あるブランドの商品を知っている人数より少ない、直線的で単純なプロセスです。コトラーは、今日の接続性の時代においては、このようなプロセスはアップデートされるべきだ、と指摘しています。

5Aのカスタマージャーニーとは

スマートフォンやSNSが普及する以前には、消費者である個人がブランドに対する自分の態度を決めていました。しかし、接続性の時代においては、顧客はオンライン、オフラインを通して、さまざまなコミュニティや口コミの影響を受けて、ブランドに対する態度を最終的に決定します。つまり社会的な影響を加味することなく消費者のカスタマージャーニーを予測するのは不可能な時代に突入したのです。

コトラーが『マーケティング4.0』で提唱した新時代のカスタマージャーニーは、認知(Aware)、訴求(Appeal)、調査(Ask)、行動(Act)、推奨(Advocate)です。重要なポイントは、ブランドが目指すべき最終的な目標は、顧客に「再購入させる」事ではなく、いかに「認知」から「推奨」に導くかという点です。

以前はロイヤルティというと、顧客維持率や再購入率などで説明されてきましたが、ロイヤルティは究極的には「ブランドを推奨する意思」として定義される、とコトラーは説明しています。

つまり再購入しなくても、もしくはブランドを使用していなくても、顧客を「推奨」に進ませ、ブランドの熱狂的なファン(推奨者)にさせることこそが、マーケティング4.0の目標なのです。 SNSが発展した今は企業がつくるファンコミュニティや口コミの影響が非常に重要です。オンライン、オフライン問わずに「推奨」してもらえるブランドを目指しましょう。

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