CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは

マーケティング用語

CBDC(Central Bank Digital Currency)という単語を聞いてピンとくるのは、デジタルマーケティングを勉強されている方がほとんどかと思います。
一般的にはなじみがないこの単語。今回はCBDCについて解説します。

CBDC(Central Bank Digital Currency)とは

日本語では「中央銀行デジタル通貨」と訳すこの単語は、文字通り、中央銀行が発行するデジタル通貨です。日本では導入されていないものではありますが、もし日本でCBDCが発行されたと仮定すると、「日本銀行が発行するデジタル円」が日本円のCBDCにあたります。

CBDCの実用例

CBDCの代表例としてまず挙げられるのは「デジタル人民元」でしょう。これは中国人民銀行が発行する法定デジタル通貨です。
2014年から研究・開発がすすめられ、2019年に最初の試験運用が開始されました。
2020年10月には深圳市にて実証実験が開始され、この通貨を使用できるのは抽選で選ばれた国民のみと限定的でしたが、2021年5月には外国人にも対象が広がり、利用可能な対象は急速に拡大しています。2021年12月に、中国人民銀行が公表した統計では、約2億6,100万人がデジタル人民元のアカウントを開設、累計取引額は約876億元(約1兆6,000億円)に昇っています。
使い方としては、指定口座を作った銀行からスマホのウォレットアプリへ金額をチャージし、QRコードで決済を行うという形になっています。銀行の口座からチャージをすると支払いまですべてがデジタルで完結するため、硬貨や紙幣の取引と比べ取引履歴の追跡が容易であり、マネーロンダリングをはじめとする違法行為の取り締まりを強化することも可能となります。

デジタル人民元以外にも以下の国で実証実験や開発が進められています。

・デジタルドル(アメリカ)
・デジタルユーロ(EU)
・e-クローナ(スウェーデン)
・デジタル・ルーブル(ロシア)
・サンドドル(バハマ)

※代表的なものを抜粋

日本円のCBDC化について

現状、日本ではCBDCの発行計画はありませんが、日本銀行は今後の環境変化に的確に対応できるよう準備しておくことが重要であるという方針を示しており、近い将来、日本でもCBDCの発行が検討される可能性は十分考えられる段階にあるといえるでしょう。
日本銀行は「CBDCを導入する場合に期待される機能と役割」として以下の機能、役割を挙げています。

(1)現金と並ぶ決済手段の導入
当面、現金の流通が大きく減少する可能性は高くないが、仮に将来、そうした状況が生じ、一方で民間のデジタルマネーが現金の持つ機能を十分に代替できない場合には、現金と並ぶ決済手段として、一般利用型CBDCを提供することが考えられる。なお、現金に対する需要がある限り、日本銀行は、現金の供給についても責任をもって続けていく。

(2)民間決済サービスのサポート
現金の流通が減少する事態が生じない場合においても、決済システム全体の安定性・効率性を高める観点から必要であれば、民間決済サービスをサポートするためにCBDCを発行することが適切となる可能性がある。

(3)デジタル社会にふさわしい決済システムの構築
これらに加え、より広い観点から、日本銀行がCBDCを発行したうえで、民間事業者の創意工夫により様々なサービスを上乗せして提供することなどが、デジタル社会にふさわしい安定的・効率的な決済システムの構築に繋がる可能性も考えられる。

※「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」の公表について」より引用(2020年10月9日, 日本銀行)

以上のように、日本銀行はCBDCを導入することによって、決済システム全体の安定性・効率性を高める可能性について言及しています。また、実証実験についても、2022年4月に第1段階としての「概念実証フェーズ1」を実施完了、結果報告書を公表しており、現在、「概念実証フェーズ2」が開始されています。
このように、日本においてCBDCの発行計画はないものの、事実上、発行へ向けた動きは着実に進んでいるといえる状況にあります。

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