顧客ロイヤルティを獲得する3つの戦略 第1回市場戦略(全3回)

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マーケティングの環境がめまぐるしく変わっていることはみなさんもご存知の通りです。未来の予想がしにくいVUCA時代と言われて久しいですが、コロナ禍の影響もあってさらに持続的成長の実現が大変見通しにくくなっています。これまで人類が経験したことのないこの状況に対して、企業はどのように対応していくべきか、3つの観点からシリーズで説明していきたいと思います。
第1回は「市場戦略」です。

ビジネス変革と価値創造の類型化を期待

昨今のマーケティング環境の変化に伴い、世界でもさまざまな提言がなされています。今年11月に開催された世界規模のオンライン国際会議「マーケティングサミット」において、コトラーはEntrepreneurial Marketing(起業家的マーケティング)というテーマを提起されていました。Entrepreneurial Marketingについてはこのシリーズでも折に触れて解説してまいりたいと思います。

さてマーケティングを考えるときの基本的な視点は、市場とブランド、そしてお客様の3点です。今回お話する市場という視点は、製品戦略という定義で捉えてよいでしょう。これまでも解説記事や数々のセミナーで伝えしてきましたが、世界中で人口は停滞・減少に転じてきています。さらに、DXの急伸とサステナビリティの問題が強く意識されるようになりました。このような時代の製品戦略はどのように考えたらいいでしょうか。

これまでの製品戦略では、主に大きな市場を細分化していくことによって行われてきました。大きな市場から、ニーズによって生活者をセグメントし、そのセグメント別に異なる商品を開発して商品のラインナップを増やしてきたのです。これは市場のパイが大きくなっていくときには、同時にひとつひとつのセグメントも大きくなっていきますから、十分有効な戦略であったといえるでしょう。しかしこれから人口が停滞から縮小へつながり、サステナビリティを強く意識する時代には、このような無尽蔵で加速度的な拡大戦略はなかなかとりづらくなってきています。

これからの市場戦略に求められるものは、新規の需要・価値を創出し、顧客に対してこれまで享受できなかったような新しい価値・ベネフィットを提供していくことです。商品や事業がこれまでの市場のなかでコモディティ的な競争に陥っていくのか、それとも新しい価値 を提供していくのかが、戦略の重要な判断になっていきます。

このことがきちんと出来ているかどうかを確認するには、生活者のパーセプションを見てみないとわかりません。生活者のパーセプションの中で新しい価値を提供している商品であれば、これまでとは違った因子で反応を示しているはずです。もしくはこれまで見られなかったベネフィットが分析の結果として表れてくるかもしれません。もしも新しい商品のパーセプションを分析したときに、今までと同じようなパーセプションで先発商品や競合商品とあまり変わらないような位置関係にあるとすれば、これはコモディティ型の商品であると言わざるを得ません。

生活者のパーセプショングラフ(イメージ)

これからの市場戦略で新しいトレンドにしっかりと適応していくためには、これまで以上に生活者のパーセプションというものを客観的に捉え、ロイヤルティにつなげられているかどうか、見極めることが重要です。


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