価値主導のマーケティングへの移行 ミッション・ビジョン・バリューとは?

2020/05/11 10:00:00 / by 5A LS 編集部

環境破壊などさまざまな社会的課題に直面している現代では、顧客は企業の社会的責任や社会貢献活動に大きな関心があり、志に共感できる企業の商品を選ぶようになっています。彼らは世界をよりよくしたい、理想的な場所にしたいという思いを強く抱き、企業にも同様であって欲しいと考えます。そのため顧客に信頼され選ばれる企業になるには、顧客と同じ夢を持ち、世界をよりよくするための社会貢献を行うこと、そして、それを自社の価値に結びつけていく必要があります。

このことはマーケティング活動が“価値”をベースにしたものへ移行していることを意味します。製品レベルで消費者に約束どおりの性能や満足を届けることは不可欠ですが、同時に高い次元で顧客の感情的な願望を実現し、なんらかの形の思いやりを実践しているとみなされる必要があるのです。

社会貢献を企業文化に組み込み、価値ベースのマーケティングへ

社会貢献を自社の価値向上に結びつけることに成功している企業は数多くありますが、一方で自社のDNAに組み込むことが難しい場合や、コミットメントを維持できなくなり失敗してしまうケースも少なくありません。本物の社会貢献とは言えないような、見せかけの慈善活動に終始してしまうケースもあります。

それでは、社会貢献を企業文化の一部としコミットメントの維持につなげていくためには、どのようにしていくべきなのでしょうか。

最もよい方法は、社会貢献を自社のミッションビジョンバリューに落とし込むことです。そのためには、それぞれの概念をきちんと理解し、自社にとって最適な内容を掲げる必要があります。そして、すべての社員とこれを共有し、各々がその方針について真剣に理解し、日々の行動に落とし込むよう促す必要があります。そうしてはじめて、本当の意味での価値主導のマーケティングが叶うのです。

ミッション、ビジョン、バリューとは、具体的にはどんなことを指すのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

ミッションとは? 企業の存在理由を端的に言い表したもの

事業内容を言い表すものがミッションだという人もいますが、ダイナミックなビジネス環境下では、事業範囲は変わりゆくものです。ミッションには普遍的で本質的なものを掲げることで、企業の持続可能性を強化することができます。

故ピーター・ドラッカーはかつて、成功している企業は金銭的利益ではなくミッションの実行から生まれている、金銭的利益は後からついてくるべきものだと主張しています。ミッションはそれほどまでに重要な企業の根幹なのです。

ビジョンとは? 企業の望ましい未来像を描き出したもの

ビジョンは未来を生み出すためのものです。企業はミッションの定義を考慮し、どのような企業になり何を達成したいのか、漠然とではなく明確に描き出すとよいでしょう。

それが実現可能性を高めることになります。ビジョンは企業を未来へ導く羅針盤といえるでしょう。

バリューとは? 企業組織としての行動規範

バリュー(価値)は、企業が大切にしているものを表現します。

企業は自社の価値を業務遂行方法に組み込むことで、社内外のコミュニティにひいては社会全体に役立つ行動を実現させます。それが最終的には企業価値そのものの強化・向上につながっていきます。

『コトラーのマーケティング3.0』の図を参考に作成

ミッション、ビジョン、バリューを決定したら、VBMモデル(価値を基準にしたマトリックス)を活用して具体的な活動内容を考えていきましょう。ミッション(なぜ)、ビジョン(何を)、バリュー(どのように)、それぞれの視点から、現在および将来の顧客のマインド、ハートと精神をつかむための企業努力を検討します。

SCジョンソンのミッション・ビジョン・バリューの事例

以下では、社会や環境の持続可能性に対する取り組みをミッション、ビジョン、バリューにうまく組み込むことに成功している、「カビキラー」「パイプフィニッシュ」などの製品で有名なSCジョンソンの事例を紹介します。

ミッション:
コミュニティの幸福に貢献するとともに環境の維持・保護に努める

多様な製品を提供すること、環境維持活動へ参加しているという喜びを与えることで、消費者の満足や願望を実現。貧困層に向けた事業活動により、思いやりも実践しています。

ビジョン:
持続可能性の原則に従って人々のニーズを満たす革新的なソリューションの提供で世界のリーダーになる

ビジョンの達成は黒字成長と受賞歴に示されています。実績を広く知らせるためにパブリック・レポートも発表しています。

バリュー:
経済的価値の創造、環境の健全さの追求、社会の進歩を推進する

自社の基本的な強みは社員であると宣言したり、子どもを持つ女性の積極採用を行うことで、マインドに訴え、ハートを掴んでいます。さらに環境や社会の持続可能性に貢献できる機会を提供することで、精神にも訴えかけています。

このように考えていくと、これからのマーケティングは、企業のミッション・ビジョン・バリューに組み込まれた意味をマーケティングすることであると表現できるでしょう。

マーケティングは、もはや販売や需要の創出活動のみを示すものではありません。企業が顧客に求められ続けるための“価値”を創造すること、そしてその維持・向上を目指し、企業の戦略的未来像を描く活動そのものであるといえます。


 

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