コアバリューがもたらす利点 社員に理解させる重要性

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現代では企業の価値を高めるために、自社のミッション・ビジョン・バリューを世の中に発信し、顧客へビジョンマーケティングを行うことが浸透してきています。それと同じく、社員に対しても自社における企業の価値を理解し、体現してもらうことが重要となっています。顧客や株主に対してビジョンを浸透させるのと同様、社員に対してもビジョンの浸透が必要なのです。なぜなら、真に企業の価値を理解した社員は、企業に強力な利益能力、投資収益能力、持続能力をもたらすからです。今回は、企業の価値の中でも中核価値(コアバリュー)がもたらす利点について深掘りしていきます。

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優れたコアバリューを獲得し競争優位に立とう

コアバリューが優れた企業は、競合と比べさまざまな点において優位に立つことができます。たとえば人材獲得。人材獲得競争では、よりよい社員をひきつけ、長く引き止めておくことが可能です。また、社員を導く優れたコアバリューがあれば生産性も向上します。それでは、具体的に見てきましょう。

優れたコアバリューによる人材獲得優位性

優れたコアバリューを持っていると、優れた人材を引き寄せられる。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、企業の幹部の58%はブランドの価値と文化を、社員の動機づけ要因と考えています。これに対し、昇進や成長は39%、報酬の差別化は29%の支持で、ブランドの価値と文化が圧倒な支持を得ていることがわかります。

また、理想主義者が多い最近の新卒者はより適合を求める傾向にあり、MBAコースの卒業生の50%は、社会的責任を果たす企業で働くためなら給与の減額を受け入れるという調査結果もあります。

これは新興市場にもあてはまります。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)では、企業の目的と文化が社員にとって最も重要な入社希望の要因となっており、世界を変えるとともに自国に文化的変化をもたらす雇用主を探しているといいます。社員は入社すると、自社の誠実さを吟味し、掲げている価値をどのように実践しているかを確認します。雇用主が掲げている価値を誠実に実践していれば、社員は会社にとどまり全力を尽くします。企業の価値を守り、実践していくことで社員の忠誠心は高まるのです。

生産性向上と顧客への好印象

社員の幸福は生産性に影響を及ぼすといいます。自社の目的のすばらしさを社員が信じていれば、生産性は高くなります。価値によって導かれている社員は、より熱心に働くだけでなく、会社のストーリーと一致する消費者価値を届ける会社のよりよい顔になってくれるのです。

たとえば、東京ディズニーリゾートのキャストは、お客さまを笑顔にしたいという想いで働いています。清掃スタッフの水を含んだホウキで地面にディズニーキャラクターを書くパフォーマンスなどは、顧客が熱く語るブランドストーリーの一部になります。このように優れた価値により動かされる社員は、生産性も向上し顧客に与える印象もよりよいものとなるでしょう。

コアバリューは多様性の統合と促進を行う

コアバリューは、社員がブランド・ミッションを実現する手引になり、これを共有価値と呼びます。共有価値は、地域差や人種差を超えて社員の意識を統合することに効果を発揮するでしょう。たとえば大企業は多くの事務所を持っており、それは国内のさまざまな地域であったり、時には国境を超えます。また人材に関しては得意なことが違ったり、ときには人種、宗教が違ったりと多様な人材を抱えていますが、共有価値があることにより、それぞれの違いを小さくし、一つの企業文化の中に統合することを可能にしているのです。

強力な共有価値をすべての社員に身につけさせ、判断基準や仕事に対する想いを一致させすることで、企業は安心して権限を移譲することが可能になります。権限を移譲することにより、社員は同じ価値基準を持ちながら、それぞれの事務所のある地域に応じた知見を蓄積するなど、多様性を統合・促進し、より強力な競争力を獲得していくことになります。

共有価値については下記の記事で解説しています。
コアバリューとはなにか 社員に対する価値のマーケティングを行おう

企業の価値は、さまざまなケースで競争優位性を企業にもたらすことになります。優れたブランド、企業文化を持つことは優秀な人材を集め、その人材を引き止めておけるほどの価値を与えてくれ、また、仕事の大義ややりがいにより社員は熱心に働き、さらには顧客から好印象も得られ企業の顔となるのです。

企業の価値を社員に正しく理解してもらい、企業文化を醸成することは、強固な競争優位性を獲得するのに役立ちます。

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