【マーケティング5.0】AR・VR仮想および拡張現実マーケティングとは

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近年のデジタル化は顧客ニーズやチャネルを多様化させました。誰もがスマートフォンを持ち、いつでもオンラインにつながる状態なったことで、企業と顧客との関係性やコミュニケーションには大きな変化が生まれています。このような時代で顧客に求められ続けるためには、自社独自の価値や体験を創出し、顧客に届けることが重要になります。どんなにコミュニケーションの機会が増えても肝心な顧客体験が高品質でなければチャンスを生かせません。

今回は顧客体験を設計する際に取り入れたい技術、ARとVRについて理解を深めます。人間は見たり聞いたりした情報よりも、体験した情報の方が印象や記憶に残りやすいといわれているため、企業のマーケティングにおいてARやVRは有効です。単なる情報提供にとどまらない体験要素のあるアピールは大きな差別化要素になるからです。特にコロナ禍で対面での接触やリアルイベントなどが難しくなっている現在、自社の価値や強みを伝えるために抑えておくべきテーマです。

AR Argumented Realityとは

ARはArgumented Realityの略語で、日本語にすると拡張現実です。現実空間の映像を取り込み、それにデジタルデータを重ねて目の前の世界を拡張する技術で、スマートフォンなどの身近なデバイスを用いて手軽に体験ができます。たとえば人気のスマートフォンアプリ「ポケモンGO」は、ARによって目の前の世界にポケモンがいるような錯覚を生み出すことに成功し、多くのファンを獲得しました。

VR Virtual Realityとは

VRはVirtual Realityの略語です。日本語では仮想現実やバーチャルリアリティーと呼ばれ、コンピュータによって仮想空間を創り出し、現実にはない新しい体験を提供する技術です。顧客はVR専用のゴーグルやグローブなどを用いて仮想空間を体験します。360度どこを向いてもVRによって創り出された世界を体験できるため、テレビやPCモニターよりもリアルさを感じられます。

ARとVRとの違いとは

ARとVRは現実とは異なる世界や体験を創り出すという点で共通していますが、両者には大きな違いがあります。それは現実空間とのつながり方です。VRは仮想空間の中ですべてが完結するため現実空間とは関係のない、まったく別の世界を表現します。一方ARはあくまでも現実空間をベースとし、その世界を拡張するための要素として仮想空間を用いるため、目の前の現実空間とつながりがある体験を表現します。

ARを活用したマーケティングとは

ARを活用すると物理的、時間的制約にとらわれない多様な表現ができます。商品やサービスの特徴や大きさなどを体験として伝えることは、顧客の好奇心を刺激して購買意欲を高め、購入後のイメージ違いなどのリスク回避につながります。

たとえばアパレルやコスメの通販ビジネスにおける課題のひとつに試着・試用ができないことがありますが、ARを活用すれば顧客が自宅で楽しみながら試着や試用の体験ができます。顧客の不安を解消することは売上拡大や、返品率の引き下げにつながります。最終的に全体のコスト削減や顧客エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。

ARは家具メーカーにとっても魅力的です。家具は部屋の雰囲気を大きく変えるものですが、簡単に「試す」ことができないものです。顧客はどのような感じになるのか頭の中で想像するわけですが、実際に設置してみるとイメージと違うことが少なくありません。ARで家具を配置した様子を事前に体験できると、そうしたミスマッチを回避できます。

VRを活用したマーケティングとは

VRはゲームや映画のアトラクションに活用されるイメージが強いかもしれませんが、企業のブランディングやマーケティングにおいても有効な技術です。

たとえば不動産業界でVRによる内覧サービスを提供できれば、顧客は気になる物件を体験してから現地に行けるため「思っていたのと違った」というミスマッチが減り、成約率のアップにつながります。これは効率的な営業活動にもつながるため、人件費の削減も期待できます。さらにVR内覧というサービス自体が顧客の注目を集めるため、エンターテイメント性のある集客施策としても効果的といえます。

他にも観光業会やリフォームメーカーなど手軽に「試す」ことが難しい商材を扱う企業にとってVRは大きな可能性を感じさせます。VRで観光地を体験しながら旅行プランを計画できれば、現地に行ってみて「期待していたものと違う」というネガティブなギャップを回避できます。

最近の顧客は商品やサービスそのものの機能性や利便性だけでなく、購入における体験や獲得できる価値に注目するようになっているため、高品質な体験によって顧客の心を掴むことができるかどうかがこれからのマーケティングの鍵を握っています。顧客の記憶に強烈な印象を残すような体験を設計する際には、ARやVRといったテクノロジーの活用も検討してみましょう。ARやVRは既成概念にとらわれる必要がありません。アイディア次第で創造的かつ独創的な世界や体験を表現できます。顧客は価値のある体験をすると高揚し、誰かに共有したり薦めたくなったりするため、SNSキャンペーンなどもうまく絡めると相乗的な効果が期待できるでしょう。便利、楽しい、面白いといった体験を創り、製品やブランドの理解を促して効果的な訴求を目指しましょう。

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