コトラーのマーケティング4.0の接続性の時代とは?

マーケティング用語

スマートフォンの普及やソーシャルメディアの台頭によって、我々はかつてとは異なる「接続性の時代」に突入している―とコトラーは『マーケティング4.0』の中で指摘しています。

私たちは、スマートフォンなどのモバイル端末による接続性(connectivity)により、瞬時に膨大な量の情報にアクセスし、インターネットの中にある集合知を利用して、よりよい情報探索や購買決定ができるようになりました。顧客同士はお互いに情報を共有し、積極的に繋がり合い、さまざまな形で「顧客コミュニティ」を生み出しているのです。

モバイル端末により接続された人々は集合知を利用してよりよい選択をする

日本では、価格com・食べログ、Amazonのレビュー、ショッピングサイトの口コミやブロガーのレビューなどがそれにあたるでしょう。顧客は今までも個人の選好だけでなく社会的同調欲求によっても動かされてきていましたが、今日ではその社会的同調の重要度はますます高まって来ていると言えます。このような環境下においては、個人の購買決定のほとんどが、本質的には「社会の」決定によるものになる、とコトラーは述べています。

人々はオンライン、オフラインを自由に行き来し、自分の意見を他者に伝え、膨大な数のレビューを蓄積しています。かつては企業と顧客の間には情報格差、あるいは情報の非対称性と呼ばれる構造がありました。商品やサービスの情報は企業が持っており、それをマス広告などで顧客に発信するという仕掛けが成り立っていたのです。しかし今日においては膨大な情報は拡散されるスピードが早いため情報格差は縮まり、さらに人々が発信能力を手に入れた事で、売り手と買い手の関係性は対等になりつつあります。従来に比べて企業と顧客の情報格差が、急速に縮まっているのです。そのような時代においては、これまでのように「ブランドは、顧客を単なるターゲットとみなすべきではない」とコトラーは警鐘を鳴らしてます。

顧客は単なるターゲットではなく仲間、友だちになる

企業側が一方的に顧客に対して広告を発信していた時代とは異なり、ブランドと顧客の関係は変化しています。ブランドの「仲間」「友達」とみなされるべきであり、そのためにブランドは、自らの本質・価値を正直に示さなければなりません。そうすることで、初めて信頼できるブランドになりうるのです。
さまざまな産業にまたがる最近の調査によると、人々は企業側が策を練ってあれこれ発信するマーケティング・コミュニケーションよりも、Fファクター(Friends 友達、Families 家族、Facebook Fans フェイスブックのファン、Twitter Followers ツイッターのフォロワー)をより信頼しているといいます。現在は、ほとんどの顧客がSNS上で見知らぬ人達にアドバイスを求め、広告や専門家の意見よりも信用するようになっているのです。

企業はこれまでのようなマス広告や価格競争だけでなく、顧客にとって友人のような存在になることでファンづくりをしていく必要があります。熱狂的なファンは、成熟市場においても商品やサービスに愛着を持ち、ブランドに利益をもたらしてくれるでしょう。顧客と対等にインタラクションをして顧客を「推奨」に導き、長期的なエンゲージメントを築くことがブランドにとっての成功のカギとなるでしょう。

マーケティング4.0 4Aから5Aでカスタマージャーニーはどう変わったのか?

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