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AIとマーケティングの組み合わせ 福島常浩が解説するCX時代のロイヤルティマーケティング 第5回

記事

現代は”DX時代”といってよいほど、業種や職種を問わず世の中のあらゆる場面でDXという言葉をみかけます。経営雑誌でしばしばイノベーションを扱う特集がありますが、そこで紹介されている事例はどれもコンピューターが絡んだもので、多くの企業でDXを冠した部署が設置されるようになっています。

なぜここまでスピード感をもってDXが推進されているのでしょうか。それはITの進歩のスピードが大きく関係しています。ITの進歩の速度は早く、1年でおよそ2倍向上すると考えられています。半導体の世界に「半導体の集積率は18ヶ月で2倍になる」というムーアの法則があります。集積率が上がることは性能が上がることと同義です。半導体性能の急速な向上の典型例はパソコンのCPU性能で、1秒間に100個の処理をしていたCPUは18ヶ月後には200個の処理ができるようになります。

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ITにより情報処理能力が飛躍的に向上

一方、他業界の技術の進歩はもっとゆっくりです。たとえば日本最初の鉄道は明治5年、新橋~横浜間に開通しましたが、当時の所要時間は50分程度でした。それから約150年経った現在でも30分弱で、およそ2倍弱といったところです。ITは10年あれば1000倍になります。ITがいかに驚異的なスピードで進歩しているか理解できるでしょう。さらに驚くべきことに実際のITの世界はこれ以上のスピードで進歩しています。イノベーションはITに支えられ、ITのスピードで進歩しているのです。

イノベーションにはこれまで何度か大きな節目がありました。ひとつめは電子計算機の登場で、人間が時間をかけて行っていた計算作業を圧倒的に高速化しました。ふたつめは通信です。ネットワーク技術によって遠隔地の人と電話のやり取りができるようになりました。そして1980年代にはパーソナルコンピューティング革命が起き、大きな会社だけではなく個人がコンピューターを持つことができるようになりました。現代のスマートフォンの普及はこの延長線上にあります。そして1995年に起きた大事件が、インターネットの商用化です。これによって世界中のネットワークがつながり、さらにこのネットワークを実質無料で使えるという世界が実現されたのです。

AIを活用したマーケティングが可能な時代に

現在はIT革命の真っ只中ですが、実は2000年頃からもうひとつ大きな革命が起きています。これがAI革命です。AI革命によってコンピュータが人間の知的作業を模倣できるようになりました。これまでのコンピューターは四則演算しかできませんでしたが、AI時代のコンピューターは人間の知的な動きと同じようなことを行います。たとえば「波+虎」のような複雑な問題を扱えるようになります。実際にIBMのワトソンにこの問題を与えたところ「波柄の虎」を描きました。

AIが進歩してくるといずれAIが人間を超え、人間がAIに滅ぼされる=シンギュラリティが起きるのではないかと考える人が少なくありません。これは世界中で議論されていることですが、AIはあくまでもツールです。もっと厳密にいえばただのプログラム言語であり、決して人間の知能の代替物ではありません。得意な分野においては優れた能力を発揮しますが、それ以外はできないのです。こうしたAIの特徴を冷静に認識することが重要です。AIを正しく理解している人はシンギュラリティを否定しています。

ではAIはマーケティングをどのように変えるのでしょうか。マーケティングはAIを取り入れることによって大きく変わりますが、AIはあくまで技術ですので「どう使うか」を考えることが非常に重要になります。たとえば毎月のレポーティングのような単純作業はAIのほうが得意で、おそらく一万倍くらいの生産性でこなします。すでにRPA(Robotic Process Automation)を使って効率化を図っている企業もあります。他にも、膨大なデータを確認して不自然な点がないか調べることや、マーケティングミックスの最適化などもAIに任せることができるでしょう。

マーケティング5.0時代にAIを使いこなすためには

コトラーは『マーケティング5.0』で、5Aカスタマージャーニーの5つの要素とAI技術は掛け算で考えるべきだと述べています。これはきわめて本質を突いた言葉です。AIがマーケティングに何をしてくれるかという受け身の姿勢ではAIを使いこなせません。たとえば「認知を上げる」という活動がありますが、ここでAIを活用したら何ができるだろうか、と能動的に考えていくことが必要です。認知向上のためには、訴求を増やすためには、調査をしてもらうには、購買してもらうには、そして最終的に好きになってもらい、推奨してもらうには、AIをどのように活用すべきかひとつひとつ考えることが重要なのです。

コトラーは「デジタルマーケティング」と「デジタル社会のマーケティング」を区別して考えるべきだと主張しています。この主張は、我々はデジタルマーケティングを目的とするのではなく、AIが普及、浸透した「デジタル社会」で求められるマーケティングは何かを考えるべきということを示唆しています。マーケティングの多くはAIによって形を変えていくでしょう。今我々が直面しているIT革命で起きている社会やライフスタイルの変化を見逃さないことが不可欠であり、それができればAIは脅威ではなく素晴らしい相棒になるでしょう。


福島常浩が御社のマーケティングをディレクションいたします

トランスコスモスでは、フィリップ・コトラーの提唱する5Aコンセプトに沿ってマーケティング戦略提案をいたします。実際のご提案に際しては、当記事の解説者である福島常浩がデジタル時代に最適化したロイヤルティマーケティングをサポート。まずは御社のお悩みをお聞かせください。

トランスコスモス株式会社 上席常務執行役員
公益社団法人日本マーケティング協会 理事
福島常浩
東京工業大学大学院修了後、味の素株式会社に入社。その後、GE Capital、三菱商事、ぐるなび、メディカルデータビジョンを経て、ビッグデータ事業、マーケティング責任者等を歴任。専門分野は、新事業・新製品開発、ブランド論、医療ビジネス、ロイヤルティマーケティング。トランスコスモスではマーケティング関連の事業開発を担当し、書籍 『コトラーのマーケティング4.0』 で紹介された5A診断を日本で独占的に提供している。

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